結論から言うと、サヤ取りで資産運用する場合は、OCO注文をしっかり理解をしてOCOにより複数の注文をしておくと惨事を回避しやすくなります。
OCO注文とは
OCO注文とは、指値注文と逆指値注文を同時に出し、片方が約定するともう片方がキャンセルされる注文です。
利益確定と損切りの両方を兼ね備えているため、出口戦略として非常に有効な方法です。
フラッシュクラッシュの影響を受けてしまいそうなレバレッジの場合は、必須の注文と言えるでしょう。
指値注文
指値注文は簡単に言うと、「よりお得に!」という注文です。
「逆張り」時に使います。
【買い指値】指定したレートよりも安くなれば買い。
○正しい買い指値注文
現在レートが100円だが、99円で買いたい。
↓
99円の買い指値注文。
↓
99円以下になった時点で買いポジションが約定。
×間違った買い指値注文
現在レートが100円だが、101円まで上昇したら買いたい。(順張りの発想)
↓
101円の買い指値注文。
↓
現在レートが既に101円より安いので、100円で約定してしまう。
これでは成行注文と同じですね;
【売り指値】指定したレートよりも高くなれば売り。
○正しい売り指値注文
現在レートが100円だが、101円で売りを持ちたい。
↓
101円で売り指値注文。
↓
101円以上になった時点で売りポジションが約定。
×間違った売り指値注文
現在レートが100円だが、99円まで下降するなら売りたい。
↓
99円で売り指値注文。
↓
既に99円より安いので100円で約定してしまう。
これでは成行注文と同じですね;
逆指値注文(トリガ)
逆指値注文は簡単に言うと、「そっちに行くなら便乗!」という注文です。
「順張り」時に使います。
【買い】指定したレートよりも高くなれば買い。
○正しい買い逆指値注文
現在レートが100円だが、101円まで上昇するなら買いたい。
↓
101円で買い逆指値注文
↓
101円以上になった時点で約定。
×間違った買い逆指値注文
現在レートが100円だが、99円で購入したい。
↓
99円で買い逆指値注文
↓
現在レートより既に高いので100円で約定してしまう。
これでは成行注文と同じですね;
【売り】指定したレートよりも安くなれば売り。
○正しい売り逆指値注文
現在レートが100円だが、99円まで下降するなら売りたい
↓
99円で逆指値注文
↓
99円以下になった時点で売り。
×間違った売り逆指値注文
現在レートが100円だが、101円で売却したい
↓
101円で売り逆指値注文
↓
現在レートが既に101円より安いので100円で約定してしまう。
これでは成行注文と同じですね;
特に売りの方がややこしいので注意です。
そして・・・
この指値注文と逆指値注文の2種類の注文を同時に行うのが、OCO注文です。
何故このOCO注文が必要なのか、急変時のリスクから見てみます。
サヤ取りの急変時リスク
サヤ取りは両建てを行うため、レートが急変した場合は片方だけがロスカットになります。
そのまま急変した方向にレートが向かい続けず、ロスカット後にレートを戻した場合は、最悪のシナリオとなります。
もし、そのまま急変した方向にレートが向かい続けると、利益が上がります。
下記にその例をあげます。
《例1》最悪のシナリオ
100円で買いと売りの両建てをして、1%の損失でロスカットとなるレバレッジ20倍でポジションを保有していたとします。
仮にレートが99円まで下落して、その後100円に戻したら・・・(ローソク足で下ヒゲを描くパターン)
→買いポジションはロスカットされ、1円分の損失。
10枚持っていたら、10万円の損失です。
→売りポジションはそのまま保有となります。
元どおりなので、利益も損失もなしです。
従って、両方で10万円の損失です。
これでは為替損益を相殺する目的の両建てとして、意味がありませんよね。
《例2》むしろ利益が上がるパターン
同じく、100円で買いと売りの両建てをして、1%の損失でロスカットとなるレバレッジ20倍でポジションを保有していたとします。
仮にレートが99円まで下落して、その後どんどん下落して98円になったら・・・(ローソク足でヒゲを描かないパターン)
→買いポジションは99円でロスカットされ、1円分の損失。
10枚持っていたら、10万円の損失です。
→売りポジションはそのまま保有となり2円分の利益です。
10枚持っていたら、20万円の利益です。
従って、両方で10万円の利益です。
こうなると嬉しいのですが、例1のような損失のパターンも否定できないため、この最悪のシナリオのようなリスクに怯え続けなければなりません。
正直、どっちに転がるかなんて誰にも分からないので賭けになってしまいます。
なので、サヤ取りではOCO注文を行います。
サヤ取りのOCO注文
両建てなので、買いポジションと売りポジションの両方をOCO注文するのですが、これが結構ややこしいです。
OCO注文画面では、指値注文と逆指値注文を同時に入力しなければならない上に、買いと売りで意味が反対になるためです。
間違えると意図としない約定をしてしまうので注意が必要です!
上記の指値と逆指値注文の説明のところに黄色とピンク線を引いています。
買いポジションに対しては黄色線のOCO注文で、売りポジションに対しては青線のOCO注文を行うことになります。
以下ポイントとしてまとめます。
《買いポジション》
→現在レートよりも高い値を指値、低い値を逆指値(トリガ)
《売りポジション》
→現在レートよりも低い値を指値、高い値を逆指値(トリガ)
この関係を覚えておきましょう!
相場急変時のスプレッド拡大
しかし、OCO注文を入れておくだけでは安心できません。
サヤ取りの大敵であるスプレッド拡大です。
相場急変時には、スプレッドが通常よりも大きく開く業者とそうでない業者があります。
これが大変厄介です!
つまり、このOCO注文ですら片方だけが約定してしまうリスクを残しています。
それならば、全てのポジション枚数をOCO注文せずに、半分だけにするとか、OCO注文をいくつかに分ける等の工夫が必要です。
片方だけ約定されても全ての枚数ではないので損失が少ないです。
さらに枚数が減った瞬間(OCOが約定された時)に、口座の維持率が上がるので延命措置になります。
また、再度ポジション枚数を戻す際に、スプレッド損失も少なくなり復旧がしやすいです。
色々なOCO注文の分け方があるのですが、サヤ取りシーソーでは、7割を2段階に分けてOCO注文することにします。
理由は、
ロスカット到達までを含めると3段階となり、この3段階で過去最高の急変をカバーできるようにしておけば、最悪のシナリオは回避ができるからです。
もっとすごい急変が来たら、その時は負けを認めます!笑
2段階OCO注文(7割)
資金移動の度にOCO注文の値も再設定が必要となり、労力がかかるため、簡単なワークシートを作成しました。
(白枠内に値を入力すれば、水色の値が自動算出)
維持率を250%で両建てした場合の耐えられるレート変動率は6%です。
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しかし、2段階OCO注文(7割)を用いると、8.67%耐えてさらにポジションが3割残るというオマケがつきます。
まとめ
サヤ取りのために両建て運用するには、
複数にOCO注文を分けるとリスク軽減になります。
今回は以上です。