高金利通貨じゃない米ドルだが、最近は金利が上昇しているのでスワップアービトラージ(サヤ取り)ができるのでは?フラッシュクラッシュが起きない通貨なので高いレバレッジがかけれるなら、そこそこ年利があるのでは?本記事では米ドルのスワップアービトラージにおける両建ての適正な証拠金維持率(レバレッジ)を考察していきます。
米ドルでサヤ取りってどう?
レバレッジはどれくらいまで可能?
このような疑問を解決します。
結論から言うと、レバレッジ10倍で運用可能で年利約8.4%です。
安心の基軸通貨でスプレッド損失も少ないのが利点。銀行預金よりはるかに良い金利ですね!
米ドルのサヤ取りでのスワップ収益は?
2022年12月における米ドルの買いスワップは高い業者で約178円、売りスワップは安い業者で約-119円です。1日分のサヤ取りは59円となかなか良い数字に見えます。
2022年12月の米国の政策金利は4.5%
米ドルの買いスワップ
年月 | 日数 | 買いスワップ合計 |
2022年12月 | 31日 | 5,509円 |
買いスワップが最も高かったのは「くりっく365」
1日の平均 +177.7円
米ドルの売りスワップ
年月 | 日数 | 売りスワップ合計 |
2022年12月 | 31日 | -3,700円 |
売りスワップが最も高かったのは「セントラル短資FX」
1日の平均 -119.4円
米ドルのサヤ取り(2022年12月)
買いスワップ | 売りスワップ | 売りスワップ合計 |
5,509円 | -3,700円 | +1,809円 |
2022年12月の米ドルのサヤ取り
1月分 +1,809円
1日分 +58.4円
米ドル1lot分の両建てでスワップサヤ取り利益は58.4円/1日となります。
それでは1lotを安全に両建てするのに必要な証拠金はいくらでしょう?
米ドル両建ての必要証拠金
米ドルの必要証拠金
レバレッジ | 必要証拠金 | 両建て |
25倍 | 5.3万円 | 10.3万円 |
12.5倍 | 10.5万円 | 21.0万円 |
10倍 | 13.2万円 | 26.4万円 |
8.3倍 | 15.8万円 | 31.6万円 |
5倍 | 26.3万円 | 52.6万円 |
4倍 | 32.6万円 | 65.2万円 |
2倍 | 65万円 | 130万円 |
※USD/JPYレート132円
米ドル132円の時、各レバレッジで1lotを所有するための必要証拠金です。
証拠金維持率と実行レバレッジと耐えられる変動率の関係は、以下の表の通りになっています。
この関係を元に、過去にどれくらいの変動率が起きたのかでレバレッジを判断します。
過去の米ドル1日変動率
2010年以降の米ドル1日の変動率を示したグラフです。
この青い線にタッチする日は、維持率が追いつかずロスカットになる可能性があります。
どの通貨も共通して、プラス幅よりマイナス幅の方が大きくなる傾向があります。
米ドルのグラフもプラスは6%までに収まっているが、マイナスは8%付近まで到達した歴史があります。
歴史的なショックである、2016年6月24日の「イギリスEU離脱の日」でも8%に収まるぐらいです。
ちなみにトルコリラはこの日、19%もマイナスに触れました。この辺りはさすが米ドルですね。
現実的にはレバレッジ10倍でも運用可能です。
数分など瞬時にこれだけ動くのではなく1日の最大の動きなので、維持率が低下したらポジション数を減らすか資金を移動させるかすればロスカットにはなりません。
レバレッジ10倍で証拠金26.4万円なので、まる1日ポジションを放置しないのであれば・・
米ドルは約26万円で1lotの両建てが可能です。
米ドルサヤ取りのスプレッド損失
※「くりっく365」のレート
※セントラル短資FXのレート
上のスクショは実際の各口座の米ドルスプレッドです。
買い口座「くりっく365」:スプレッド0.03円
売り口座「セントラル短資FX」:スプレッド0.009円
合計で0.039円なので、1万通貨あたり390円のスプレッド損失となります。
1日58.4円のサヤ取りなので、390 ÷ 58.4 = 6.67日
スプレッド損失を取り戻して黒字化するまでに、1週間ほど。
【まとめ】米ドルでサヤ取りができるかどうか
ここまでで米ドルのスワップアービトラージ(サヤ取り)で両建てをする場合の、証拠金維持率についてご案内させていただきました。
本記事のポイントをまとめます。
米ドルの政策金利は4.5%
1日のサヤ取りスワップは56.4円
1日変動率は6%以内(歴史的ショック除く)
レバレッジ10倍は可能(維持率250%以上)
必要証拠金は両建てで約26万円
26万円で1日56.4円の金利
26万円で1月1,809円の金利
100万円で1月約7,000円の金利
月利は0.7%→年利は8.4%
スプレッド損失は1lot両建て390円→1週間で黒字化
※2022年12月時点
結論:米ドルのサヤ取りは年利8.4%
今後利下げが起きた場合は、この限りではありません。
しかし、米ドルの政策金利はもうしばらく上昇しそうなので、十分にサヤ取りが可能です。
というわけで今回は以上です。