まず所得について知ろう!
確定申告に関係するのは所得税ですので、どんな種類の所得があるのか?について知る必要があります。
国税庁が定める所得は、以下の10種類があります。
○給与所得・・・・事業所から支払われる給料
○不動産所得・・・土地や建物の貸付収入等
○事業所得・・・・個人事業主さんの収入
○山林所得・・・・山林の立木や伐採による収入
○譲渡所得・・・・株式・宝石や貴金属等の売買による収入
○配当所得・・・・株式配当等による収入
○退職所得・・・・退職金による収入
○一時所得・・・・懸賞・福引・競馬、競輪・保険金・遺失物取得・埋蔵金
宝くじは非課税だが、贈与税はかかる
○利子所得・・・・債券や債券を含む投資信託等の利子
○雑所得・・・・・上記9種類以外の所得 →特に国内FXは「先物取引に係る雑所得等」に分類
収入から必要経費を差し引いたら所得です。
収入ー経費=所得
必要経費を計上すれば、所得が減りますので有効です。
これら個人の所得にかかる税金を、所得税といいます。
【本題】確定申告とは
これら所得を合算額し、納税・還付を行うための税務署に対する手続きです。
(→還付とは、納め過ぎた税金が戻ってくる事)
計算の対象期間は、毎年1月1日〜12月31日で、翌年の2月中旬〜3月中旬までに申告・納税を行う義務があります。
1年間の全ての所得から自分に関係する控除を差し引いた額に、各税率を乗じて税額を計算します。
しかし、確定申告は普段税務に縁のない納税者自らが計算し、自己申告で行うため、致し方ないミスが起こりやすいと思います。
税務署より間違いが判断された場合は、税務調査が行われ修正申告となりますが、極めて悪質な場合は逮捕に至るケースもあるので注意が必要です。
とはいえ、確定申告が不要なケースもあります。
確定申告が不要な人
確定申告はすべての国民に必要というわけではありません。
給与所得者の多くは、確定申告を行っている人は少ないですが、確定申告が不要な人とは、どんな条件でしょうか。
以下に代表例を挙げます。
①給与所得者で、年末調整を行なっている場合 ※例外あり
年末調整とは・・
毎月の給料から天引きされている所得税を再計算して過不足を調整する事で、毎年11月〜12月に行われます。
再計算する理由は、毎月の所得税は大体の報酬月額で計算されており、保険料・扶養・住宅ローン等の控除が含まれてないです。
そのため、年末調整によって正しい数値で再計算し、12月の給与または賞与で所得税の追加徴収または還付を行うものです。
この年末調整を行なっている会社員は、正しい数値での納税が終わっているため、確定申告の必要はありません。
しかし・・・例外あり!!
条件によっては、会社員でも確定申告をしなければなりませんので、後述します。
②給与所得者で、給与所得と他所得の合計が103万円未満の場合
パートの人がこれに該当するケースが多いです。
給与所得者も自動で必要経費が算定されており、みなし経費として給与所得控除があります。
103万円というのは、給与所得控除65万円と基礎控除38万円の合算です。
給与と他の所得が103万円未満であれば、確定申告の必要はありません。
③給与所得者で、他所得が20万円未満の場合
給与所得以外に、株・FX・その他副業による所得があっても、20万円未満なら申告不要です。
ちなみに21万円の雑所得があった場合は、1万円ではなく、21万円に課税されます。
④給与所得者でなく、他所得が38万円未満の場合
学生や主婦は給与所得はありません。
このように給与所得がない人で、給与以外の所得が基礎控除38万円未満であれば、確定申告の必要がありません。
また、自営業者は、給与所得ではなく事業による収入です。
事業収入ー必要経費=事業所得
事業所得が、国民全員に付与される基礎控除額38万円未満であれば、所得0で計算されるため確定申告の必要がありません。
ちなみに39万円の雑所得があった場合は、1万円に課税されます。
⑤400万円以下の年金受給者で、他所得が20万円未満の場合
400万円以下の公的年金の受給者で源泉徴収を受けており、その他の所得が20万円未満の場合は、確定申告の必要がありません。
確定申告が必要な人
国税庁の定める10種類の所得のうち、利子所得を除いた9種類のいずれか1つ以上で所得があった人は確定申告が必要です。
基本的には、上記の「確定申告が不要な人以外」となります。
その他の例外条件を、下記に挙げます。
①給与所得者でも確定申告が必要な場合
上記で申し上げた、例外です。
・複数の事業所で給与をもらっている(バイトを含む)
・給与が2,000万円を超える
・給与以外の不動産所得や雑所得等が、年間20万円を超える
・住宅ローン控除を初めて受ける年
・6つ以上の自治体に、ふるさと納税を納付
・年末調整以外の医療費控除等を申請したい
・年末調整の前に、途中退職した
上記どれかに該当する場合、会社員でも確定申告をしなければなりません。
②医療費が年間10万円を超える場合
医療費控除を行い、納税額を減らすことができます。
③自然災害や火災、犯罪被害により損失を被った場合
雑損控除を行い、納税額を減らせる可能性があります。
④損益通算や繰越控除を行いたい場合
特に本記事で主張したい重要な項目です。
通算できるグループ分けがややこしいため、別記事にします。
確定申告について、分からないことは調べるか相談しましょう
税制に関しては、調べても分かりにくいことが多いです。にも関わらず誤った判断をすると、最悪なケースでは犯罪者扱いになることもあります!
困ったら、税理士や税務署に相談しましょう。
最後に
確定申告は、一般的な会社員では世話にならないことがほとんどですが、投資・副業活動を続けている人には重要な手続きになります。
株式や雑所得を保有している場合、年内に損失確定することで大きく税率が変わることがあります。
冬の始まりあたりから、状況把握とポジション整理を心がけましょう!